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加藤シゲアキ ”ピンクとグレー” を読みました

 

 加藤シゲアキ ”ピンクとグレー” を読みました。

 著者はアイドルグループ ”NEWS” のメンバーである加藤シゲアキ

 芸能人の書いた小説、しかも比較的若い彼のものとあって、この作品の存在を知った時は正直たいしたことない作品なのだろうと思っていました。しかしながら店頭で冒頭の目次と文章に少し目を通したところ、なかなかに面白そうな作品だと僕のアンテナが反応を見せ、これは評価を変えなければならないのではないかと思い始めました。そんな経緯があってから、先日折よく古本屋でこの作品を見かけたため購入して、本日読了した次第です。

 物語の内容としては、主人公と小学生からの親友がともに芸能界入りし、スターへの階段をかけ登って行く親友とそうではない主人公の関係が徐々に変化していき……というもの。アイドルとして芸能界に飛び込んだ著者ならではのストーリーで、随所に散りばめられた業界的風景の描写にリアリティがあるのは、彼の経験が活かされているのでしょう。

 作品は主人公が過去を回想するチャプターの合間に現在の描写が挟まれるという形式ですが、中盤までは”現在の描写”の頻度は少なく、さらにそこには謎の多い表現も含まれます。しかし後半、この物語はどういったところに着地するのだろうと思い始めたころに、ある転換点を迎え、そこから一気に怒涛のラストへと駆けていきます。多少気になる文章の表現などはあるものの、物語の構成としては最後まで飽きずに楽しませるものであると感じました。巻末のインタビューで著者が語っているように、映画などのストーリーをよく研究しているのでしょう。そのうち彼はドラマや映画の脚本に携わるのではないかと予想したりしています。